book_icon02.jpg 今月のお題目  00/01/29
coverimage “年初”

『へなへな日記』

中野翠 毎日新聞社 1500円

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 とうとう2000年がやって来ました。ミレニアム、ミレニアムとマスコミが騒いでいたほど巷では盛り上がったのかどうか分かりませんが、とりあえずおめでとうございます。と言うわけで、年の初めだし一年続いたこのコーナーも今回で終わりなのでちょっと去年という年を振り返ってみようかなと思い今回の本を選びました。

 もともと私は女の人のエッセイはつまらないという偏見を持っており、ほとんど食わず嫌い状態だったのですが、初めて中野翠の文章を読んだ時、こんなにもまともな女のエッセイストがいたんだと目から鱗だったことを覚えています。中野翠のまともさは、常に自分の考えを第三者の視線から冷静に分析しようと努めるところだと思います。モノを書く上で当たり前のことのように聞こえるかもしれませんが、意外とこれが出来ない人って多いんですよね。私はこれが好きであれが嫌い、これは面白くてあれはつまらないだけで終わってしまうエッセイって結構あるけれど(残念ながら女の人に多い気がする)そういうふうに何故思うのかをちゃんとつきつめて分析し、しかも的確に表現できる数少ないエッセイストの一人ではないでしょうか。もし自分が他人と違う意見や疑問を持ったとき、またそのことを非難されたとき、ただ闇雲に感情的になって拒絶するだけできちんとした意見も言えないのは大人として恥ずかしいことなんだということを彼女の文章から随分教えられたような気がします。
 ところで「へなへな日記」ですが、98年12月から99年11月までの間に世の中で起こった関心を引く出来事について書かれております。例えばサッチー騒動、コギャルの厚底靴による事故、広末早大初登校、全日空機ハイジャック事件、東海村臨界事故等々……。だけどこうしてみるといろいろあるにはあったけれどなんかろくなことなかったんだなということを思い知らされます。
 ところどころに大好きな落語や歌舞伎、映画についての評論が書かれていたりしますが、私は落語や歌舞伎のことはよく分からないし映画もそんなに観ないけれど、そんな文章にとってもほっとさせられるし実際すごく楽しそう。もしかしたらこんな節操のない世の中に嫌気がさして、そのうち落語や映画の話ししか書いてくれなくなるのではとちらっと不安になったりしていまいました。でも、世の中も芸能界もまたまた今年もいろんなこと起こりそうじゃないですか。文筆界のオンブズマンとして目を光らせていて欲しいと期待してしまいます。
 ところで話は変わりますが中野翠は『クヒオ』と名乗る結婚詐欺師にご執心の様子。実は私も初めてフォーカスでクヒオを知ったときから、ずっと気になる人物だったので最近のクヒオについて書かれた文章に大喜び。――英国エリザベス女王の双子の妹とハワイのカメハメハ大王との間に生まれ、英国情報部に勤める、プリンス・ジョナ・クヒオ――こんな荒唐無稽な話しを信じる人がいるんですね。ちょっと調べりゃ嘘と分かりそうなものなのに……。だってクヒオって整形しているけれど顔は思いっきり日本人のオヤジで英語もろくにしゃべれないらしい。とにかくクヒオが気になる人は本文の307ページをすぐ読むべし。

【おまけのひとくち評】
『自殺』 柳美里  文藝春秋
 せっかくの新年だから明るく楽しいものをと思ったのに、いきなり「自殺」になってしまいました。でも決して暗い話ではないです。あらためて死について自分の生きる意味について考えたりします。
編集部よりお知らせ
「今月のお題目」コーナーは2000年1月でひとまず終了させていただくことになりました。長い間ご愛読ありがとうございました。
2月からは、毎月ごとにテーマを決めた特集コーナーとしてリニューアルします。お楽しみにお待ち下さい。


文:柳ぴょん
年齢、性別は不詳。一応あの広末涼子の先輩にあたる。
昼間はだらだらとフツーに会社で働く自称アングラライター。趣味は投稿とホテル巡り。山羊座のO型。
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