book_icon02.jpg ご存じですか、この出版社 02/06/10
coverimage 第29社

信濃毎日新聞社出版部
(長野県長野市)


― 信州の地の誇りを全国に発信 ―
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 新聞社の出版部、というものがある。比較的なじみの薄いものではないかと思う。ましてやそれが地方新聞の出版部ともなれば、ある意味未知の世界に近いのではないか。
 そんな「地方新聞の出版部」として、何故かずっと私の脳裏にひっかかり、存在が気になっていたもの。それが我が長野県の地元新聞社、信濃毎日新聞社の出版部だ。
 明治6年に創刊第1号を発行して以来続いてきた信濃毎日新聞社であるが、出版部が独立したのは昭和47年。
image02  文化事業及び地域の発展への貢献。地方新聞の存在意義の、特にその部分の役割を担う大きな力の源のひとつとして、以来信毎出版部は堅実ながら目覚ましい成果を上げてきている。

 これまでで最も大変だったと思われることは何でしょう? と細野正昭出版局長に聞いてみた。
「長野オリンピックでしょうね」即座に、そう答えが出た。
 オリンピック閉幕から、わずか1週間で発行されたオリンピック・グラフ。新聞社という機関が他数社とタイアップする形でしか成し得なかった限界に近い迅速さで刊行されたそれは、当初の予想を大幅に上回る売れ行きをみせた。が、この速さにはあるささやかな弊害がつきまとっていた。購入した読者から、ある時クレームがきたのである。
「閉会式の花火のシーンが載っていない!」
 そのはずである。閉会式まで網羅した取材をと思えば、この刊行の速度はあり得なかった。閉会式を待たずに取材は締め切られたのである。が、読者があの1冊を最も求めるはずの時期に、刊行のタイミングはかっちりと嵌っていた。あれより後では「旬」ではないのだ。話題の鮮度を熟知した新聞社なればこそ可能であった英断なのである。

 この出版部より発行された質の高い書籍は数知れないが、まずここで特筆すべきは毎日出版文化賞を受賞した「一茶全集」をはじめとする、他に類をみない検証・編集、そして未刊の資料の発掘により注目を集める小林一茶研究のシリーズであろう。これらはまさに入魂の労作であり、研究者にとって必携の資料となっている。
coverimage  信毎出版部にとって、胸を張って独自色といえるのは、なにより信州というこの地のもつイメージであるとのこと。このブランドイメージを生かした、「地方」を超えた販売力を誇る刊行物は数多い。例えば全国の登山ファンを魅了する山岳シリーズ。このうち、美しい写真とともに山々を紹介した「日本の名山」は、やはり登山好きで知られる皇太子ご夫妻の愛読書でもある。
 最近のお薦め本として、ここでは「信州の里山を歩く」と「信州百花」を紹介しておこう。里山の魅力を網羅するとともに、その危機について警鐘を鳴らす「信州の里山を歩く」、そして息をのむほどの鮮やかな写真と平易な文により花々の美しさを魅せてくれる「信州百花」。いずれも読んで得るものの多い優れた書である。

 文化への貢献という大きな目標をもつ信毎出版部ではあるが、仕事の中で喜びを感じるのは、やはり読者または著者が満足してくれた時であるという。出版人としての気骨と誇りとともに、私が取材の中で感じたのは、実に素朴な、活字に関わる人々に共通の、人というものへの愛着なのであった。
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信濃毎日新聞社
住所:〒380-8546 長野県長野市南県町657
電話:026-236-3373
FAX:026-236-3370
URL:http://www.shinmai.co.jp/


文:清水美絵香(しみず・みえか)
フリーライター・アマチュア小説書き
得意分野は文学・映画
E-Mail:white@po3.ueda.ne.jp
ホームページ :http://www3.ueda.ne.jp/~orangeexpress/

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